勝利、そして世界一へのヒリつくような渇望が癖になるサッカー漫画『ブルーロック』。
設定や物語としての面白さがあるのはもちろんですが、読んでいて自己啓発本のような要素があるなと思った方もいるのではないでしょうか。
普通の高校生だった主人公の潔が成功へと進んでいく道筋を、論理的かつエンタメとして物語に落とし込んでいるのもこの作品の特徴だと考えています。
その為今回はブルーロックから学ぶことができる成功のエッセンスを取り出し、〈思考・考え方〉と〈精神・環境〉という観点に分類し紹介していきます。
成功と言うと大きな物事を成し遂げることが思い浮かびますが、ありふれた日常を少しだけ変えてみることだって1つの成功です。
夢や成し遂げたいことがある人はもちろんですが、受け身の楽しみを享受してなんとなく生きてしまっている人にこそ知ってほしい要素が詰まっています。
仕事や生き方についてなど、なにかしら参考になる部分があるはずなので読んで頂けたら嬉しいです。
※ブルーロック1巻~23巻までの内容を含みます。
※画像はブルーロック滾らせメーカーで作成しました。
ブルーロック|滾らせメーカー (bluelock-kc.com)
思考・考え方
まずは思考や考え方の面から、自分自身として成功するロジックについて説明していきます。
ここでは漫画1巻から23巻の内容を時系列で3段階的に分けて進んでいこうと思います。
自立:己だけの武器を持て
まずは自分の個性・才能を見つけて伸ばすことで、戦う武器を持ち自立していく段階です。
ブルーロックへ入寮した1巻から、6巻の二次選考1stステージVS BLUE LOCK MANまでに触れます。
武器を見つけ突出させる
初めは自分の武器が分からなかった潔ですが、ゴールの匂いという感覚を対話の中で空間認識能力として自覚するようになります。
得意なことなんてないと思っている人でも、人より多少なりとも出来る部分というのは誰しも持っているものです。
自分にとっては当たり前でなんとなく出来ていることでも、それを自分の長所として認識し意識的に伸ばすことで己だけの武器が出来上がるのだと思います。
潔のようになんとなくを言語化できるようにするだけでも見える世界は変わってきます。
成功の再現性
絵心は偶然で終わる成功(ゴール)には価値がないと説いています。
再現性のある成功を生み出す確かな力を身に付けることが必要なんですね。
その為に潔はゴールの方程式について考えることとなり、武器である空間認識能力×ダイレクトシュート=ゴールという自身の方程式を見つけます。
自分の武器を活かせる条件を徹底的に分析することでこの方程式は見えてきます。
覚醒 己を学習する瞬間
”覚醒”とは思考と経験の蓄積の上に起こる「学習」だ
ブルーロック4巻 絵心甚八
潔は空間認識能力で得たアドバンテージを迷いやトラップで無駄にしていたことに気付きます。
これは自分の経験から考えに考え抜いた結果辿り着いたものです。
経験を積みその経験がどうであったか思考を重ねることで、パズルのピースがはまるようにある時学習する瞬間がやって来るのです。
問題意識
二次選考1stステージVS BLUE LOCK MANで潔は、武器のダイレクトシュートひとつにもポジショニングやインパクト技術といった仕組みや公式が存在することを意識し始めます。
問題意識を持つことの重要さが分かる場面です。
練習や勉強、仕事などが只々こなすだけの時間になっていませんか?
漫然と練習するのと問題意識を持って練習するのとでは伸びが変わってくるはずです。
共存:他者との関わりの中での変化
次のステップとして、自分を見つめるところから他者との関わりの中で成長していく段階に移ります。
6巻から11巻の二次選考2ndステージ ライバルリー・バトルに焦点を当てていきます。
才能と才能の化学反応
まず欠かせないのが才能と才能の化学反応。
それぞれの武器が交わり、時にぶつかり合うことで相乗効果を生み出すことです。
話し合いなどの場面でも、異なる意見や考えを持つ人同士が交わることで今までになかった良いアイデアを生み出せたら理想的だと思います。
また潔は成早から死角を利用したオフザボールという能力を得ますが、他者の良いところをマネして取り入れるというのは何事でも上達の近道ですよね。
今までの自分に固執しない柔軟な適応能力も潔の長所です。
その後馬狼との化学反応を起こそうとする場面では、自分の行動を変えることで馬狼に適応します。
他人を変えるのではなくまず自分が変わるという考え方は日常生活でも活かすことが出来ます。
仕事などでもつい他人に「こうして欲しい」と期待をしてしまうものですが、先に自分の考えや行動を変える方が意外とストレスが少なく済みます。
結果それによって相手が変わってくれることもありますし、期待を裏切られる落胆もありません。
絶望する才能
潔が自分の行動を変えたことで馬狼は敗北を知りましたが、彼は絶望を受け入れてさらに強くなる道を進みました。
敗北に学び、絶望を正しく刻むことが大事なんですね。
敗北ってのは勝負の世界に必ず発生するただの現象だ
ブルーロック8巻 絵心甚八
スポーツや仕事で失敗をした時必要以上に気にしてしまった経験があるので、現象という捉え方は発想の転換になるなと感じました。
また凡人は間違いを認めるのが怖い・否定を受け入れたくないという思いから無意識に言い逃れをし、自分の考えていた道筋を諦めないのが正解だと己を錯覚させると絵心は言います。
その結果叶えるはずだった夢が追うことが目的にすり替わってしまうそうです。
いつの間にか手段と目的がすり替わってしまうという経験は誰にでも起こり得ることだと思います。
”諦める”行為でしか見ることのできない道筋があり それが新しい己の可能性となる
ブルーロック8巻 絵心甚八
例えば、現代ホスト界の帝王とも言われるローランドさんのエピソードはこの言葉を体現していると考えています。
彼はサッカー選手になることを夢見て強豪校でサッカーをしていましたが、結果として夢を諦めることとなります。
しかしその後ホストとして成功することとなり今や実業家やタレントの顔も持っています。
海外の有名なサッカー選手と関わる機会を得たり、Jリーグのサッカークラブのアンバサダーを務めたりサッカーに関することでも活躍していますね。
形は変えても成功するという夢を叶えたのは彼に絶望する才能があったからかもしれません。
運のカラクリ
”運”はどこにでも存在する物じゃなく落ちる場所にいる者にしか舞い降りない
ブルーロック11巻 絵心甚八
偶然を想定して準備しておくのが一流といった内容を絵心は語ります。
様々な業界があれど、トップの方はあらゆる状況を想定し入念な準備を怠らないという話はよく聞くことです。
他者との関わりの中では望まずとも偶然が発生するものですが、いつでもチャンスを掴み取れる状態を整えることこそがプロフェッショナルでいる秘訣なのかもしれません。
進化:自己独創性の更なる向上
3つ目のステップは自己独創性を向上させ、自身を更に進化させていく段階です。
漫画の展開としては11巻から少し飛ばし、18巻から23巻の”青い監獄”計画第二段階「新英雄大戦」編での内容となります。
ここでは絵心だけでなく各国のマスターストライカーたちの教えにも学ぶべきポイントがあります。
「わからない」は思考停止
超合理性を哲学とし、数値至上主義のドイツを選択した潔。
そこで憧れであったノエル・ノアに自分に必要なものを尋ねますが、ノアの突っ込んだ質問に途中で答えられなくなります。
「わからない」ってのは希望的観測の雑音が入った非合理の思考停止だ
ブルーロック18巻 ノエル・ノア
この言葉と共に全て言語化して説明できる理想を描くようノアは潔を指導しました。
理由が「わからない」ものも自分に質問を重ね突き詰めて考えることで見えてくることが多いので、「わからない」は思考を諦めているという内容には納得しました。
この言語化するっていうのも大事で、それによって自分の中でふわっとしていたものがはっきり形を持つんですよね。
身近な例を挙げると、推しの良さや好きなところを言語化することによってより理解が深まったりもします。
好きなことから突き詰めて考える癖を付けていくと、今まで気付けなかったことが見えてきて見方が変わる感動を味わえるかもしれません。
マネをミックスして自己独創性へ
続いて蜂楽の選んだスペインの指導者、ラヴィーニョの教えです。
彼も最初は憧れの存在のマネから始め、そこからミックスして自分だけの”世界一”のイメージを創ったそうです。
事業でもコンテンツでも、多様な物が溢れた現代では0からオリジナリティのあるものを創り出すのは至難の業です。
独創性は既にあるものの掛け合わせで、まだ世に出ていない掛け算を見つけるのが大事なのかもしれません。
何かを始めたいと思った時、方程式のようですが自分の得意なもの同士を掛け合わせることでその人らしさの出たオリジナリティのある強みも創り出せると思います。
理想を描き逆算する
イングランドの指導者クリス・プリンスは凪・玲王・千切たちに丁寧な指導をしてくれていました。
理想を明確に描き、そこから逆算してトレーニングし肉体を創るというのがイングランドのやり方です。
自分にできることから考えてしまいがちですが、それでは自分の枠から出て大きく進化することは出来ません。
まずは右脳を使った想像力で純粋な理想を描き、その実現の為に何が必要か、どうすれば現実になるかを左脳で論理的に考えるという流れが大事なんだと思います。
例えば旅行やどこかへ出かける際の計画でも同様で、まずは自分がどこへ行きたいかを考え、その後交通手段等の道筋を調べて決めていくという順序になると思います。
どこかの会社・大学に入りたいなんて場合にも当てはめられますね。
成功は自と他の物語の交差地点にある
見出しはドイツVSイングランド戦での雪宮のシュートを見た絵心の言葉です。
ここでの成功は、個人レベルのものではなく社会的に認められる規模の大きな成果を想定しているのでしょう。
そう考えると、大勢の人たちを巻き込んで交わった先に成功が存在するというのも頷けます。
自己満足に浸っているのであればそれを抜け出さなくてはいけないということなのかもしれません。
精神・環境
ここからは心構え的な部分や環境面についての内容を5つ紹介したいと思います。
1巻から23巻を横断的に説明します。
最後の1秒まで戦う人間
ストライカーとはその全責任を負い 最後の1秒まで戦う人間のことですよ
ブルーロック1巻 絵心甚八
上記は1巻の絵心の台詞ですが、最後まで諦めず戦うメンタリティーの重要さを感じる言葉でもあります。
U20日本代表との試合中にも同系統の言葉を絵心は語っています。
予定していた作戦が失敗しようとも 思い通りの道筋じゃなくても
ブルーロック14巻 絵心甚八
目的を見失わなければ その状況は新たな挑戦になる
予定通りに物事が進まなくとも、目的達成への思考を諦めない即興(アドリブ)力が大切だということです。
絶体絶命はワクワクするところ
チームV戦の蜂楽に痺れるシーンです。
試験や試合など真剣勝負の緊張する場面、そんな時こそその状況を楽しむ方が強いってことですね。
緊張しすぎて体が硬くなるより、楽しむことで適度に緩ませて挑戦するのが1番力を発揮できるコンディションなのかもしれません。
才能とは己の能力を証明する力
その人生を懸けて 己が信じ夢見た能力をこの世界に証明する人間
ブルーロック7巻 絵心甚八
それを俺は”天才”と呼ぶ
天賦の才や恵まれた身体能力を持っているだけでなく、それを磨いて世に証明することで天才となるということですね。
千切や馬狼がサッカーをする理由でも自身の才能を証明するという根本的な部分が描かれています。
しかし、この言葉は誰もが自分の能力を磨いて世に知らしめることで天才となりうる可能性があるという意味にも思えてはっとさせられました。
キャラクター達が能力を証明する大きな第一歩となったU20日本代表戦は熱かったですね。
環境の影響力
一次選考では自分が下のランクに居ると認識させられることで、飢餓感つまりハングリー精神を得ました。
”青い監獄”という特殊で残酷な閉鎖空間に身を置いたことで、キャラクター達の能力は引き出され思考も変化していったのです。
物語は進み、新英雄大戦編では世界トップチームのエースストライカーの指導を受け、下部組織U20カテゴリーのメンバーとも試合出場やゴールを懸けて争うことになります。
彼らが短期間で加速度的に成長したのは環境の影響力が大きいです。
自分を変えたいと望むならば、毎日を過ごす環境を変えてみるのが最短ルートなのでしょう。
また環境に関連して、組織には哲学という水がありそれに適応するか自分色に染めるかという内容も絵心は語っています。
この考え方は会社のような集団にも当てはめることが出来そうです。
挑戦的集中への没頭
最後は挑戦的集中への没頭、FLOWです。
これは自分にとって適度な難しさの目標に挑み、能動的な夢中の状態に入る事です。
自分の能力に対して挑戦が低いと退屈に感じ、能力に対して挑戦が高すぎると不安が勝って集中できないというのは経験があるのではないでしょうか。
そしてそのFLOWに至るメンタルが「主人公感」。
自分が主人公だと信じる事で、何かを成すために最大限に集中力を高める感覚です。
現代は情報と娯楽に溢れ、スマホのような受動的な夢中がすぐ手に入る日常を絵心は「退屈」と「不安」を誤魔化す為の無間地獄と称しています。
自分の人生は自分が主人公。
受け身で流されて生きるのではなくて、自分から熱量を持って夢中になれることに取り組むことで得難い充実感や確かな自信を持つことができます。
まとめ
色々紹介してきましたが、潔が試合中もそれ以外も思考し続けているように、自分の可能性を信じ突き詰めて考え続けるというのが1番大切なのではないかと感じました。
ブルーロックは面白いだけでなく、このような学びの要素もあるのが興味深いですよね。
その上キャラクター達と一緒に自分まで熱くなる体験もさせてくれます。
ブルーロックの彼らのように、自分の理想の為に熱く滾れる人が増えるといいなと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント